米国でリース会計基準(ASC 842)が導入され、早や4年ほど経とうとしていますが、日本における新リース会計基準の適用開始も控えていることもあり、企業実務におけるリース会計への関心が再び高まっています。
本稿では、米国において実務上押さえておくべき基本原則と、判断に迷いやすい論点を整理して解説します。
1. リース会計の基本原則
米国におけるリース会計の基本原則として、借手は原則としてすべてのリース取引について「使用権資産(Right-of-Use Asset)」および「リース負債(Lease Liability)」を貸借対照表(B/S)に計上すること必要があります。
ただし、実務上の例外(選択適用)として、リース期間が12か月以内の「短期リース(Short-term Lease)」については、資産・負債のオンバランスを行う必要がなく、発生時にそのまま経費として処理することが認められています。
■ 「1年以内」の判定における留意点
しかし、書面上の契約期間が12か月以内であっても、無条件で短期リースの例外を適用できるわけではありません。「当該リースを1年以上更新することが合理的である(reasonably certain)場合」には、更新期間を含めたリース期間全体を基礎として判定を行う必要があります。更新期間も含めてリース期間が1年を超えるようですと、たとえ契約が1年であっても短期リースの例外が適用されず、貸借対照表に使用権資産とリース負債を計上する必要があります。
2. 使用権資産とリース負債の測定(計算例)
リース開始時には、将来支払うリース料、リース期間、割引率をもとに「使用権資産」と「リース負債」を計算し、貸借対照表に記帳します。ここに例を示します。
計算条件の例:
リース期間:2年(1年目 月額$13,000)
割引率:年6%(月0.5%) ※非上場企業では、割引率はリース開始時のリスクフリーレート(Treasury rate)の利用が認められています。
エクセルでこちらの情報をもとに現在価値で計算してみた結果、$258,460となりました。よってリース開始時に行う仕訳は下記となります。
Dr. 使用権資産(Right of Use Asset) $258,460/
Cr. リース負債(Lease Liability) $258,460
3. オペレーティングリース vs ファイナンスリース
リース取引は、その性質に応じて「オペレーティングリース」と「ファイナンスリース」に分類されます。以下のいずれかの要件のうち、一つでも満たす場合はファイナンスリース、いずれにも該当しない場合はオペレーティングリースとなります。
リース期間終了時にリース資産の所有権が借手に移転する
借手に格安購入オプション(Purchase Option)の行使権がある
リース期間がリース資産の耐用年数の主要部分(通常75%以上が目安)を占める
リース料総額の現在価値が、リース資産の時価のほぼすべて(通常90%以上が目安)を占める
リース資産が特殊仕様であり、代替用途がない
■ 会計処理の相違
いずれの分類であっても、リース開始時の初期計上(使用権資産およびリース負債の認識)は同一ですが、開始後の仕訳に違いが生じます。下記が上記の例を使って計算した仕訳になります。
* 合計リース支払額 $276,000 ÷ 24 months
** Right-of-Use Asset $258,460 ÷ 24 months
上記を見ていただけますと、オペレーティングリースとファイナンスリースがPLへ与える影響の差は数百ドルしかありません。
終わりに
リース会計では、リース期間や更新オプションの判断によって会計処理が変わることがあります。また、オペレーティングリースとファイナンスリースでは処理方法に違いがあるものの、いずれも使用権資産とリース負債を認識する点は共通しています。
まずは基本的な考え方を理解し、自社のリース契約がどのような会計処理となるのか、どのように財務諸表に影響を与えるかを把握することが重要です。



