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Cross-Border Tax

新制度「Trump Account」とは?

By

Noboru Muto


子どものための新しい資産形成口座と投資対象ルール

米国財務省とIRSは、2026年8月、Trump Accountで認められる投資対象についてのProposed Regulations(提案規則)を公表しました。
Trump Accountは、一定の子どもたちのためにつくられる新しいタイプのTraditional IRAです。幼少期から低コストのインデックスファンドで長期運用することを目的としています。


1.誰のために開設できるのか
原則として、口座開設の選択を行う年の年末時点で18歳未満であり、有効なSocial Security Number(SSN)を持つ子どもが対象です。
親、法定後見人、一定の家族などのAuthorized Individualが、Form 4547またはIRS Individual Online Accountを通じて口座開設の手続きを行います。


2.政府からの$1,000拠出
次の要件を満たす子どもについては、米国政府から1回限り$1,000のPilot Program Contributionを受けられる可能性があります。
2025年1月1日から2028年12月31日までに出生している
米国市民である
有効なSSNを持っている
Form 4547などにより政府拠出を選択する
政府拠出は自動的に行われるものではなく、原則としてForm 4547の該当欄をチェックするなどの選択手続きが必要です。


3.家族や雇用主からの拠出
成長期間中は、親、祖父母、子ども本人などから拠出できます。これらと雇用主拠出を合わせた年間限度額は、原則として$5,000です。
雇用主は、従業員本人またはその扶養家族のTrump Accountへ年間$2,500まで拠出できます。この雇用主拠出は$5,000の年間限度額に含まれますが、一定の要件を満たせば従業員の課税所得には含まれません。
$1,000の政府拠出や一定の政府・慈善団体からの拠出は、通常、この年間$5,000の限度額の対象外です。Trump Accountへの拠出は2026年7月4日より前にすることはできません。


4.拠出について所得控除は受けられるか
成長期間中に個人が行うTrump Accountへの拠出について、Traditional IRAのような所得控除は認められません。
一方、口座内の運用益は原則として直ちに課税されず、Tax-Deferred、すなわち課税繰延べで運用されます。


5.どのような商品に投資できるのか
子どもが17歳になる年の12月31日までの「Growth Period(成長期間)」中は、投資対象が限定されます。
提案規則による適格投資の主な条件は次のとおりです。
Mutual FundまたはETFである
S&P 500など、主として米国企業の株式で構成される指数に連動する
特定の業種やセクターだけに集中する指数ではない
レバレッジを使用しない
年間の手数料・経費が残高の0.1%以下である
原則として指数への連動を目的とするパッシブ運用である
したがって、個別株、債券、暗号資産、レバレッジETF、アクティブ運用ファンドなどは、成長期間中の投資対象として認められないと考えられます。
口座所有者が投資商品を選択しなかった場合は、口座管理機関が選定した適格投資商品に自動的に投資される予定です。


6.18歳になるまでは引き出せるか
成長期間中の引出しは原則として認められません。例外として、別のTrump Accountへの適格な移管、一定のABLE Accountへの移管、過大拠出の返還、受益者の死亡などがあります。
子どもが18歳になる年の1月1日以降は、原則として通常のTraditional IRAのルールが適用されます。
教育費やFirst-Time Homebuyerなど一定の例外に該当しない限り、59歳未満の引き出しには、所得税に加えて10%のEarly Distribution Penaltyが課される可能性があります。


7.今回の規則はまだ確定ではありません
今回公表された投資対象に関するルールは、現時点ではProposed Regulationsとしています。原則として2026年1月1日以後に開始する課税年度への適用が提案されていますが、最終規則で内容が変更される可能性があります。
TreasuryとIRSは、2026年10月20日まで意見を募集しています。口座開設や投資商品の選択に際しては、今後公表されるFinal Regulationsおよび金融機関からの案内を確認する必要があります。


まとめ
Trump Accountは、子どものために早い時期から資産形成を始められる新制度です。特に2025年から2028年生まれの米国市民の子どもについては、$1,000の政府拠出を受けられる可能性があるため、対象となる家庭ではForm 4547による選択手続きを確認することが重要です。
ただし、個人拠出に所得控除はなく、18歳以降の引き出しにはTraditional IRAの課税・ペナルティ規定が適用される可能性があります。一般の教育貯蓄口座である529 Planなどとの違いも考慮し、利用目的に応じて検討することが望まれます。
※本稿は2026年9月2日現在の法令および公表資料に基づく一般的な情報であり、個別の税務・投資アドバイスを目的とするものではありません。
参考資料:
IRS:投資対象に関する提案規則の発表
Federal Register:Guidance on Eligible Investments
IRS:Trump Account制度の概要
IRS:Form 4547 Instructions
 
 
以上
 
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